第48章 満天恋月 ー 織姫争奪戦 ー / 謙信END
(舞、お前は……)
舞の思いは温かく、そして……
心にくすぶる熱を、焚き付けた。
そのまま肩を引き寄せ、胸に抱きすくめる。
小さな身体に宿る、温かな体温。
決して失いたく無い温もり、そして。
────己を焦がす、烈火の熱
「俺は、お前が居ないと息も出来ない」
ぽつりと胸の内を曝け出す。
恋しくて恋しくて、愛しくて。
縛ってめちゃくちゃに狂わせたい半面。
もっと、その穏やかな笑顔を見ていたい。
相反する、身の内の感情。
黒と白がせめぎ合い、そこに真紅が混じる。
…………欲しい、舞が。
「ずっと一緒に居ると言うのであれば、俺を癒せ。お前を欲する熱情を鎮めてくれ、舞」
「謙信様……」
「お前が欲しい、お前を彩る全てを俺のものにしたい。愛している、お前だけを……愛しているんだ、舞」
舞は腕の中で、その弱くみっともない心の本音を静かに聞いていた。
呆れたか、呆れただろうな。
そんな事を思っていると、背中に細い腕が回された感触がして……
ぽつりと、舞が言った。
「何を当たり前の事を言ってるんですか?私の全てはとっくに……謙信様のものなのに」
(舞───…………)
────これを、人は運命と呼ぶのだろう。
星降るような夜に、こうして。
想いを交わらせ、抱き合う二人。
空の恋人達もまた、そうした運命で結ばれた二人なのか。
灯篭の煌めきも、星屑の光も。
すでに目には入ってこない。
舞、もうお前しか、見えない。
顎をすくい、そのまま舞の唇に噛みつくように口づける。
舞を蕩かすように、舌を差し入れ、絡ませ合い。
そして、全てを奪っていく。
舞の声、匂い、柔らかい感触。
全て手に入れるように。
(お前に触れていないとおかしくなる。その熱を……飢えた俺に、分けてくれ)
唇から伝わる微熱は媚薬。
身体も頭も溶かされて……
えげつなくも、湧き出る純粋な感情に、全てを委ねた。
────…………