• テキストサイズ

【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第47章 満天恋月 ー 織姫争奪戦 ー / 信長END





舞が己の用意した浴衣を着てきてから、すぐさま天主へと連れていった。

天主には舞と一緒に七夕を祝おうと、酒は用意していたのだが……


『一緒に笹を飾りませんか?』


舞がそう言うので、すぐさま笹を用意させた。
そして、舞が部屋から千代紙を持って来たので、そのまま一緒に飾りを作り……

そして、こうして飾り付けている。
まさか、この歳になって千代紙を折るとは思わなかったが。

舞と一緒にやるのであれば、全てが真新しく新鮮に思えた。




「飾れたか、舞」

「はい!さっき一緒に書いた短冊も、しっかり飾りましたよ」

「……読んではいまいな?」

「よ、読むなと言うので読んでないですよっ、それなら自分で飾ればいいのに」




背中から抱き締められる様な形で支えられている舞が、首だけ振り返り、頬を膨らます。

一緒に願い事を書いた短冊。
それも七夕飾りと一緒に、舞が笹に飾った。

まぁ、別に読んでも構わないのだが……

律儀に『読むな』と言う言いつけを守るあたりが、舞らしいと言えば舞らしい。





「まぁ、そうむくれるな、舞」

「ひゃっ……もう、信長様!」




敢えて、そのむくれた顔の額に口づければ、舞は素っ頓狂な声を上げて頬を赤らめる。

そんな可愛らしい様子に苦笑しながら、改めて舞を背中から力を込めて抱き締め直し……

そして、欄干から見える空を伺った。




すでに闇夜が降りた、その濃藍の空に。
星屑が散らばり、淡く柔らかい乳白色の光を輝かせていて……

あまり空などしみじみ見上げない己でも、美しいなと、そう感じる事が出来る。

そして、その光が帯を成して、夜空を横切っていて。

あれが、きっと天の川で。
それらの何処かに……織姫と彦星が居て。


舞と自分のように、逢瀬を楽しんでいるに違いない。


そんなまるで御伽草子のような事を、頭に思った。
空に居る恋人達なんて、本当に居るとは信じていないが……

それでも、この七夕と言う日は、それを信じたくなる。

そして、それらに儚い願いを捧げて……
叶うようにと祈らずには居られない。






/ 523ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp