第44章 満天恋月 ー 織姫争奪戦 ー / 政宗END
「んっっ…ふぅ…んぅ……!」
水音を立てながら逃げる舌を奪ってしまえば訳無い。
舞の瞳はトロンと蕩けて、身体は熱を上げ始める。
次第に抵抗するのも止めて、素直に口づけを受け入れ。
さらには甘い声まで漏らし始めたので…
途中で、唇と顎を解放してやった。
これ以上やったら、もっと貪る自信がある。
すると、舞は息を荒らげながら、恨めしい目で睨んできた。
「…っっ、政宗っ……!」
「食わせてくれた礼だ。なんだ、物足りないか?」
「ち、違うよ!本当に強引なんだから…」
「褥では優しくしてやっただろ?」
「そ、そーゆー事言わないで…!」
(蕩けた顔して照れてる、すげぇ可愛い)
むくれて再度料理を食べ始める舞に苦笑しながら、箸を進める。
今度は先ほどとは違い、料理がやたら美味く感じた。
───満天の星空の下。
舞と一緒に作った料理を、舞と一緒に食べる。
たったそれだけの事なのに…
何故だか、ものすごく幸せだ。
戦でもない、ただの日常なのに。
舞が居るだけで、世界が鮮やかに彩られて見える。
今までは、満たされて居るのに、何か足らない。
そんな気がして、刺激ばかりを求めていた。
好戦的な性格は元からで、戦は好んでいたが…
それでも、何故か生きている実感が欲しくて。
そんな矛盾した感情は、常に渦巻いていた。
───でも、舞と一緒に居ると思う。
(こいつの全てが、俺の生きる悦びの全てだ)
「ふわぁ…お腹いっぱい」
「舞、こっち来い…ほら」
「うんっ」
料理を完食し、そのまま手招きして舞を隣に誘う。
机を挟んで向かい側に座っていた舞は、照れたように笑い、立ち上がるとそそくさと隣にやって来た。
そして、座るや否や、身体をぴったりくっ付けてくる。
(いちいち可愛いんだよな、反則だろ)
舞の可愛さは異常だ。
そんな風に思えてしまうあたり、どれだけ惚れ込んでるか、嫌でも解る。
そのまま左手で舞の肩を抱き、右手は後ろに付いて身体支える。
天を見上げれば、無数の星が眩しいくらいに瞬いていた。