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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第44章 満天恋月 ー 織姫争奪戦 ー / 政宗END





(これ以上はちょっとな……さすがに)




先程も随分性急に、しかも激しく貪った自覚がある。
身体だって怠いだろうに、こうして健気に手伝ってくれているし……


もっと、優しくしてやりたい。


そんな事を思いながら、作った料理を皿に盛る。

天ぷらにそうめん、ちらし寿司……
舞と一緒に作った、初めての料理。

それはいつもより何倍も鮮やかで、美味そうに見えた。




「よし、食うか」




庭先に茣蓙(ござ)を敷き、小さな机を置いて、そこに料理を並べる。

星を見ながら食べたいと言ったのは舞だ。
たまには星観察をしながら、飯を食うのも悪くない。

空は満天の星空。
降ってきそうなほど星は輝き、紫紺の夜空を飾っていた。




「はい、政宗あーん」




料理を囲むや否や。
舞は芋の天ぷらを一口大にし、それを摘んだ箸を口元に差し出してきた。

思わず面食らって、舞を見る。
舞は変わらずのふにゃふにゃ笑顔で、もう一度『あーん』と言ってきた。




「あーんって、お前な」

「ほら、食べて食べて、あーんだよ」

「お前、それは可愛すぎるだろ……」




しかめっ面になりながらも口を開く。
そのまま、やんわり口に入れられた芋の天ぷら。

ほくほくしていて、衣はカリッとしていて。

我ながら絶品の筈なのに、噛んでも噛んでも味がよく解らなかった。

先に舞を味わってしまったせいか、なんなのか……
それでも『してやられた感』が否めない。




(くそっ、俺としたことが……)




「政宗、美味しい?」

「美味いに決まってんだろ、俺が作ったんだぞ」

「そうだね、ふふっ」




こっちは舞の行動一つで、こんなに余裕を失いかけているのに、舞だけ普通なのが許せない。

一泡吹かせてやらねば……

そう思って、汁物の蓋を開ける。
そして、目の前で余裕ぶって箸を動かす舞の顎をすくい上げた。




「わっ…」

「礼にお前にも食わせてやる」

「え…………んんっっ!」




汁物を一口口に含み、そのまま舞の唇を塞ぐ。
口に含んだ汁物を舞の口の中に流し込み、喉がゴクリと音を立てた直後。

舌を絡め取って、余裕を奪ってやった。



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