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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第43章 満天恋月 ー 織姫争奪戦 ー / 家康END





「あ、家康……!」




部屋を訪ねると、舞は少し恥ずかしそうに出迎えてくれた。

舞は、優しい淡黄色の浴衣を着ていた。
淡黄色に縞柄、そこに鮮やかに描かれた百合の模様。

それはまさしく、自分が舞のために選んだ浴衣だった。




「俺が選んだの、着てくれたんだね…本当にそれでいいの?」




思わずそう尋ねると、舞は小さく頷いた。
そのなんともいじらしく可愛い事。

たまらなくなって、その小さな身体に思わず腕を回す。

すると、舞も遠慮がちに背中に腕を回してきて……
温かな体温と早い鼓動を感じ、口元に笑みが浮かんだ。

そして、信じられないくらい、するりと胸の気持ちが口から零れ落ちた。




「好きだよ、舞」

「私も…家康が、好き」

「……もう一回言って」

「家康が、好きだよ」

「うん、ありがとう」

「家康も、もう一回言って」

「舞が好き、すごい…好き」




抱き締め合いながら、何回も好きだと伝え合って……
やがて顔を見合わせ、笑いあった。

なんだろう、泣きそうなくらい幸せだ。

そんな事を思っていると、舞が可愛く首を傾げて尋ねてきた。




「市で七夕祭りをやっているんだよね?」

「うん、そう。でも……せっかくなら、二人だけで七夕祭りをしない?」

「……二人だけで?」




実は、舞が浴衣を選んでくれたら、一緒にやりたいと思っていた事がある。

二人だけの、秘密の七夕祭り。
誰にも邪魔されずに、こっそりと。


それは自分なりに考えた、『七夕らしい逢瀬』だ。


そのまま『来て』と舞の手を引く。
小さな手を、はぐれないように握りしめて……

そして、俺は。
この世でたった一人の『織姫』を手に入れた。














───…………















舞を連れてきたのは、御殿の側のちいさな小川だ。

澄んだ水が、星屑が散らばる紫紺の夜空を映し、サラサラと流れていく。

小川の側に二人で座り込み、懐から梶の葉を取り出す。

そして、不思議そうに首を傾げる舞に、優しく言った。




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