第42章 満天恋月 ー 織姫争奪戦 ー / 秀吉END
「それは、祈らなくても大丈夫だ」
すると、舞は『え?』と不思議そうに振り返ってきたので、コツンと額同士をくっつけた。
そのまま、その『理由』を教えてやる事にする。
「俺も、お前に出会えて、こんな風に触れられて……幸せだ。俺はこの先、お前を絶対手放さないし、手放す気もない。だから、祈らなくても、お前の幸せは続く……永遠にな」
先程、神社の短冊に書いた、二つの願い。
どちらも欠かす事の出来ない、大切な……思い。
『御館様の天下統一をこの目で見届けられますように』
そして、
『舞がこれからも俺の傍でずっと笑っていてくれますように。困難も乗り越えて、共に歩んで行けますように』
それは、欲張りでもなんでも。
必ず叶えたい願いだ。
御館様も、舞も。
どちらも自分にとっては大切で、欠かせない二人で。
それでも、強く思う。
御館様の為に死ねるけど、舞の為に生きたいと。
舞と共に生きて、未来が見たいと。
だから、今は──…………
舞に限りない愛を注いで。
満天の星達の中、どの星にも負けない。
───舞の、一番星で在りたいと。
「お前を愛してるよ、舞。兄貴じゃなく、一人の男として」
「秀吉さん……」
「だから、ずっと傍に居てくれ。もう…俺はお前を離せない。言っただろ、一回触れたら…もう離せないって」
「……うん」
触れ合った額を離し、一度視線を絡ませ……
今度は唇同士を重ね合う。
その隙間から舌を差し入れ、絡む水音と共に、舌先から舞を蕩けさせれば。
舞の身体が、また熱を帯び始めたのが解る。
やっと先ほどの火照りが収まってきたのに、素直に熱を上げる舞が愛しくて……
次第に体制を変え、舞に体重を掛けていく。
毛布を下に敷き、舞の背中をふわりと縁側に付けると、舞は熱を孕んだ瞳で見上げてきた。
「秀吉、さ……」
(あ……駄目だ)
名前を呼ばれただけで、頭が蕩ける。
眩暈を抑えて、まるで余裕があるかのように、舞に問う。