第41章 満天恋月 ー 織姫争奪戦 ー / 全武将共通ルート
「堂々と恋仲になれるチャンスだと思うよ。俺の勘だけど…舞さんは好きな人いる筈だ。なら、その人が選んだ浴衣を堂々と着てくればいい。舞さんの判断に委ねると言ってくれてる、こんな機会はないと思うよ」
(好きな人が選んだ浴衣を……)
佐助の話に舞は少し納得したようで……
正座をしている膝の着物をきゅっと掴み、口をつぐんだ。
「おい……ちゃんすってなんだ」
「俺に聞くな…舞がどう答えるか」
「随分悩んでいるようだな」
武将が小声で口々に言い合う中、しばらくすると。
舞は何かを決めたように、すっと立ち上がった。
そして皆が座る場所を回っては、その前に用意された浴衣を広げ、手に持ち……
七着全ての浴衣を両手に持つと、武将達を見渡して言った。
「わ…私は針子です、浴衣とか着るものには、ちょっとうるさいんです。だから……一着も気に入るのが無くても、文句言わないでくださいねっ!」
そう言って重そうに浴衣を抱えて、広間を出ていく。
明らかに頬を染め……
それがなんとも可愛らしく、思わず声の出ない武将達の中、最初に口を開いたのは信長だった。
「あれは……必ずどれかを着てくるな」
全員が全員、ゴクリと唾を飲む。
そして、互いに目配せしては、互いに睨み合った。
「絶対、俺のを着てくる、青だぞ、青」
「いや、俺だ。舞の趣味は解っているからな、もう兄貴じゃねぇ」
「つまりは、舞が着てきた浴衣を用意した人が、舞の想い人で間違いないですよね」
「やれやれ、これは見ものだな。舞、俺の用意した物を着てこい」
「どうか舞様、私の用意した浴衣を……!」
「絶対舞を越後に連れて行く」
「皆さん、煩悩まみれですね」
何気に佐助がぼそっと言った一言が胸を刺したのは、言うまでもない。