第40章 * オマケSS集 *
* 桜の追憶『狂想恋歌』 *
祝言を挙げた三成と舞。
二人はその足で、桜の木の下へやってきた。
一年前。
想いを交わし、そして一緒になる事を約束したその場所。
舞はきゅっと三成の手を握り、懐かしむように目を細めた。
「いろいろ、あったね。一緒になるまで」
「そうですね…でも、約束を果たせてよかった」
三成も手を握り返し、言葉を紡ぐ。
いつも一歩が進めなくて、それを前身させたのも、この愛しい人だった。
今も、これからも守っていきたい。
この愛しい人を、ずっとずっと……
三成はおもむろに舞を抱きしめ、そして耳元で囁いた。
「次にここに来るのは……アレですね」
「アレって?」
「私達に、子が出来た時」
「へっ?!」
見なくても解る。
きっと舞は真っ赤になっている事だろう。
でもきっと、それも遠い未来ではない。
自分達に子供が出来たら、この桜の木に報告に来よう。
全てを見てきたこの桜の木に。
「ふふっ真っ赤ですよ、舞」
やっぱり顔が見たくて、覗き込むと。
林檎みたいに頬を染めた舞は、瞳を潤ませて、こちらを見てきた。
「三成君、なんかさ……」
「はい?」
「すごく、積極的になったよね……」
「…いけませんか?」
「そ、そんな事ないけど……」
「じゃあ…早くしましょうね」
「何が?」
「……子供、ですよ」
真っ赤に火照る舞を抱き上げる。
舞はびっくりしているけど、何も不思議がる事は無い。
(だって、新婚初夜ってそーゆーものでしょう?)
今夜はどんな甘い時間が待っているのか。
甘やかして、これでもかと言うほど愛して。
貴女を虜にしてしまいましょう。
そして、愛の結晶を。
この世に誕生させましょうね?
二人は仲睦まじく。
次に桜の木に報告に来たのは、祝言の日から僅か三ヶ月しか経ってなかったとか。
終