• テキストサイズ

【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第40章 * オマケSS集 *





* Butterfly、オマケ *



舞が小さな命を産み落としたのは、ちょうど一年後。
その時、秀吉は謀反を起こした大名の征伐に向かっており……

舞が男児を産んだと聞かされた秀吉は、早馬を飛ばし、御殿へと帰って来た。





(舞、舞、舞……っ)





ひたすらに舞の名前だけを呼び、部屋へと急ぐ。

と、居ると聞かされた部屋のほうから赤ん坊の鳴き声が聞こえ……
急ぐ足を早め、そして駿馬の如く速さで、部屋の襖を開いた。





「え……っ秀吉、さん…………っ?」





部屋の中には褥から半身を起こしている舞。
そして、舞の胸に必死に吸い付くのは―……
小さな小さな、命。




「…………っ」




秀吉は声も出ず、ゆっくりとした動きで舞に近づき。
そして、褥の傍に座り込んだ。




「秀吉さん、なんで……」
「……産まれたって聞いて、急いで馬を飛ばしてきた……」
「そう、だったんだ……」



舞は柔らかく微笑み、必死に乳を飲む赤子に声を掛ける。




「お父さんが来たよ、ほら」
「ごくっごくっごくっ」
「ふふっ、すごい勢い。お腹空いちゃったんだね」




その幸せそうな舞の姿と。
小さな命を目の前にして。

―――思わず。





「秀吉さん……っ?!」




舞のびっくりしたような声に気がつくと。
温かい雫が頬を伝っていた。

それが涙だと気がついた時には、既に遅く。
みっともないくらい嗚咽となって溢れていた。






「…悪い……っ」






なんとか言葉を口にする。
ゆっくり舞を見つめ……
そして言葉を紡いだ。












「ありがとう、舞……最高に、幸せだ」














この気持ちに、なんて名前を付けよう。
愛しさも、幸福感も、全て全て。
言葉じゃ力不足だから。
この身体で伝えていこう。


秀吉はその愛しい二つの命を抱き寄せて。
そして、もう一度。
瞳から優しく雫を、落としたのだった―……











/ 523ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp