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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第37章 無防備な蜜、無自覚な蝶 / 石田三成




次の日から、毎日のように舞の部屋に通う三成の姿が見られるようになった。

そして、三成が舞を運ぶ姿も。

針子場や、信長の居る天主。
軍議に舞が呼ばれた時。

三成は甲斐甲斐しく舞の足となった。

そして、二人の姿は城下の湖や野原で見掛ける事もあり。
そんな二人の様子を、秀吉は少し複雑な心境で見ていた。







「三成」


軍議後、舞を運んで行った後の三成に、秀吉は声をかけた。

頭の中は春。
今の三成に、その言葉はぴったりだった。
いつも楽しそうだし、口元が緩みっぱなしである。


「お前、最近舞と仲良いな」
「舞様の足になってるだけですよ」
「その割には楽しそうだ」
「まぁ、そうですね」


そう柔らかく微笑む三成。
いつも温和で穏やかな三成だが、舞が絡むと更にそうだ。

秀吉は前々から思っていた事を、三成に問いただした。


「お前、舞の事好きなんだろ」


その言葉に、三成は疑問符を浮かべて秀吉を見る。
瞬きを数回し、やがて口を開いた。


「好きですよ、秀吉様もそうでしょう」
「そーゆー好きじゃなくてだな」
「好きに種類があるのですか?」
「女として舞を見てるのかと聞いてるんだ」
「舞様は女性でしょう、今更何を」


全く話が噛み合わない。
秀吉は少し苛立ちを覚え、三成の胸元を掴んだ。


「天然も大概にしろ。お前が舞を見る目は以前とは全然違う、その目は男の目だ」
「は?」
「舞を自分のものにしたいんじゃないのか、違うか」
「待って下さい、秀吉様。仰る意味が解りません」


三成が舞を見る眼差しが、とても熱っぽい事に、秀吉は気がついていた。
舞を焦がれて止まないその瞳は。
秀吉自身にも覚えがあったからだ。

しかし、三成はそれに気づいていない。
己の雄の部分に。

秀吉は三成の目を見る。
何も解ってないその様子に、呆れるしかなかった。


「無自覚ほどタチが悪いものは無い。舞に変な気起こす前に己に気がつけ」
「はぁ……」
「何かあってからじゃ遅い、いいな」


三成は、秀吉の言う意味が解らなかった。
ただ、今すぐにでも舞に会いたかった。


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