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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第36章 琥珀が結んだ熱と君 / 徳川家康




次の日から、政宗に恋文の書き方を習いつつ、家康は仕事の合間をぬって舞への贈り物を考えていた。

ささやかだけれど、最高に喜ぶ物がいい。
そう思って、ある事を思いついた。
それは挑戦に近い事だった。

もちろん、舞にはまだまだ秘密だけれど。
準備が進むにつれ、体調不良も悪化しているのも、確かだが。















(まずい、相当熱上がってるな)


家康は、ふらふらと歩きながら額を押さえた。

今日は、本当に久しぶりに丸々一日休みだ。
贈り物の準備も出来たので、家康は舞の姿を探していた。

多分、御殿内には居ると思うのだけど……

しかし、体調がすこぶる悪い。
熱があるのを誤魔化して、休んでいなかった。

このくらいの熱に耐えられないほど、自分は弱くない筈だ。


少し水を飲もうと、台所に立ち寄る。
側まで来ると、何かとてもいい匂いが漂っていた。



(あれ……?)



台所の釜戸の所に見慣れた後ろ姿があった。
淡い芥子色の着物をたすき掛けし、柔らかそうな髪は綺麗に結い上げられている。

久しぶりに見た舞の姿に、心が踊った。


「舞」


後ろから声を掛けると、舞は振り返り。
こちらに気がついた途端、ぱぁっと表情を輝かせた。


「家康、丁度良かった!」
「うん、どうしたの?」


ゆっくり歩いて近づくと、舞は手ぬぐいで手を拭きながら、ニコニコと笑う。


「昼餉が出来たの、久しぶりに一緒に食べよう」
「え、舞が作ったの?」
「うん。家康が休みなの、知ってたから」


単純に嬉しかった。
些細な事だけれど、自分を思って台所に立っているのだと思うと、どうしようもなく心が焦がれた。

家康は緩やかな仕草で舞を引き寄せ、腕の中に閉じ込める。

すると、舞はびっくりしたような声を上げた。


「家康、熱いよ?!」
「そんな事ないよ」
「この前の朝より、ずっと熱い!」


(あ……抱きしめるの、それ以来か)


家康は心配そうに見つめる舞の額を、指でぴんっと弾いた。


「大丈夫、ちょっと熱あるだけ」
「本当にちょっと?」
「しつこい。 昼餉、部屋に運ぶよ」


舞をなだめ、家康はふっと笑った。


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