第4章 家康流、愛する人を甘やかす方法 / 徳川家康
「家康、私……、んっ」
家康は舞を力強く抱き寄せると、何かを言いかけた舞の唇を塞いだ。
吐息ごと奪うように、深く深く口付ける。
唇を離すと、二人の間に名残惜しむように糸が伝った。
家康はそれを人差し指で絡めとると、その指の腹で舞の唇に触れた。
「何も言わないで」
「家康……あっ」
家康が不意に、舞の利き腕を掴む。
そのまま着物の袖をたくし上げると、痛々しく包帯が巻かれた細い腕が現れた。
「んんっ」
吸い寄せられるように、その腕に口付ける。
指先から二の腕の内側まで、唇で這うと、舞の口からは悩ましげな息が漏れた。
くたっと舞の身体から力が抜けたのを確認すると、家康は舞の着物の裾を割り、太ももに直に触れた。
目で見なくても解る、包帯の感触。
太ももを持ち上げ、包帯の上から甘噛みすると、舞の身体がビクッと跳ねた。
「あ、家康……っ」
「馬鹿。 舞の大馬鹿」
家康の言葉に、舞は全てを理解したのだろう。
またポロポロと涙をこぼした。
「家康、ごめんなさい…私、家康に隠していた事があって」
「全部政宗さんから聞いた」
「どうしても家康に喜んでほしくて、私、家康が好きだから、大好きだから……心配かけたくなくて」
「……うん」
舞の言葉を聞きながら、頬に伝う前に涙を舐め取る。
舞は大人しく、家康に身を委ねていた。
「ごめん、なさい……」
「謝るのは俺のほう。 ごめん、何も知らないで酷い事言って」
「家康は謝らなくていいの。 謝らせて、ごめんなさい」
「なにそれ、意味解んない。 本当に謝りすぎ」
こつんと、額と額を合わせる。
なんか会話が噛み合わなくて……
お互い顔を見合わせ、笑いあった。