第4章 家康流、愛する人を甘やかす方法 / 徳川家康
「家康、これを開けてみて」
舞が不意に、横に置いてある風呂敷包みを指差した。
家康は舞の言う通りにする。
中には見覚えのある布で作られた、羽織が入っていた。
家康は驚いて、思わず鮮やかな辛子色の羽織を握り締める。
「痛いのに、無理したんじゃないの」
「大丈夫、今はそんなに痛くないよ。 良かったら貰って」
羽織は、とても良く仕立てられており……
家康はそこで、当初の計画を思い出した。
「すごく良く出来てる、ありがとう」
家康の言葉に、舞はふにゃりと笑った。
これでようやく、甘やかせる。
舞の笑顔にやられてしまったから。
これでもかって程甘やかして、甘やかし倒して。
そう、舞が溶けるくらいに。
「舞、これから俺の部屋に来る?」
「いいの?」
「うん。 でも今日は帰さないから…帰す気ないから。覚悟しといて」
翌日。
舞を送り届けた時、信長と秀吉にひどく怒られたのは、言うまでもない。
終