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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第34章 桜の追憶『狂想恋歌』 / 石田三成




「これは……」
「アネモネって言うの。 春に咲く花なんだよ」
「すみません、花は詳しくなくて……」


三成が申し訳なさそうに言うと、舞は少し笑って、花に視線を向けた。


「これを、どうしても三成君に渡したくて……」
「私に?」
「うん。 紫のアネモネの花言葉は何だと思う?」
「さぁ……想像も付きません」
「この花の花言葉はね」


舞は三成の瞳を真っ直ぐ見つめ……
少し切なさを帯びた声色で言った。







「貴方を信じて待つ」








その言葉に、三成は目を見開いた。
言葉が見つからず黙っている三成に、舞は淡々と言葉を紡ぐ。


「私はワガママだから、三成君に触れられるたびに、どんどん足りなくなっていくの。 もっと、貴方を感じたいって」

「舞様……」

「いつか三成君が、私を求めてくれるって信じて待ってるよって…どうしても伝えたくて…… 例え今は、心は離れていても」

「……っそれは、違…っ」

「最後まで聞いて」


ぐっと押し黙る。
すると舞の澄んだ瞳から、一筋涙が零れ落ちた。


「私、三成君が好き。どうしようもないくらい……愛してるから」
「……っ」
「だから、信じて待っていていいですか? あの桜の木の下で、誓った約束を……いつか私達は一つになれるって、ずっと信じて待ってる、から……」





(…………っ)


何も言えなかった。
ただ、心の中に愛しさが溢れて。
溢れて溢れて、止まらない。

この人は、こんなにまで、自分の事を。
この小さな身体に、こんなに純粋な想いを秘めて。

ずっと、耐えていたのだ。



「三成君……あっ」


三成は褥に舞を押し倒した。
そして、そのまま唇を塞ぐ。

今までした事のない、荒々しい口付け。
舌を絡めとり、角度を変えて、何度も何度も何度も。


「ん……っふ…っ」


漏れる、その吐息まで奪って。
お互いの呼吸が止まるんじゃないかと思うくらい。

深く、深く、深く―……


「は…っあ……っ」


唇を離すと、二人の間につ…っと銀糸が伝った。
舞は荒い息を吐きながら見つめてくる。

三成は、その華奢な身体を力強く抱きしめ……

己の本音をぶつけた。


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