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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第31章 可憐気パンデミック / 明智光秀





「秀吉、今舞は何処にいる」
「部屋か針子場じゃないのか、多分」
「そうか、恩に着る」
「おい、ちょっと待てっ」


報告書の話も聞かず、その場を去ろうとする光秀を、秀吉は肩を掴んで呼び止めた。


「あまり舞をいじめるなよ?」
「何を言う、あいつに意地悪するのは、俺の趣味だ」
「それを止めろって言ってるんだ」
「まったく、お前は過保護だな、相変わらず」


くすっと笑い、秀吉の肩を振り払うと、光秀はゆっくりとした歩調で行ってしまった。

振り払われた秀吉は、手をどうして良いか解らず、空をうろつかせたままだ。


「なんか……いつもの光秀だったな」
「いつもの気まぐれだろ? ほっとけ」
「まあなー」


秀吉は不思議そうに首を傾げた。




















「…………ぐっすりだな」


舞の部屋を出た所の縁側。
そこでぐっすり眠りこける舞を見て、光秀は苦笑した。

日光浴でもしながら、針子の仕事をしていたか……
手には針と布が握られ、柱にもたれ掛かって、舞は寝息を立てている。


(……これでは、誰に手を出されても文句は言えまい)


光秀は膝を折り、座り込むと舞の頬にそっと手を伸ばした。
すると、触れた瞬間に舞がぴくっと震える。


(多分、秀吉なら……こうだな)


頬から手を離し、頭をぽんぽんと撫でる。
そして、なるだけ優しい声色を出した。


「舞、こんな所で寝ていると風邪ひくぞ?」


舞は寝ぼけたように、むにゃむにゃと口を動かし……


「ごめん、秀吉さん。 今起きる……」


そう言って、また寝息を立て始めた。
無意識にこれなんて、秀吉に起こされたのは一回や二回ではないのだろう。

次に光秀は、舞の手を取り、自分の髪に触れさせた。
そして今度は皮肉っぽく呟く。


「おい、舞。 誰が猫っ毛だって?」


すると、舞は無意識のように髪に触れてる手を動かし、また寝言のように言った。


「政宗は、髪が柔らかいから……」


そして、また寝息を立て始める。
光秀はそっと舞を横抱きにし、立ち上がって呟いた。




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