第30章 純恋花〜君に狂った花になる〜 / 豊臣秀吉
「あっ、あぁ………………っ!」
瞬間、舞の背中が、ぐんっと反り上がり……
直後、中が痛いくらいに締め付けられる。
「……っあっ、出る…………っ!」
どぴゅっ! ごぷごぷごぷ……っ!
その締め付けに耐えられず、秀吉はそのまま舞の中に、己の全てを吐き出した。
お互い息を切らせて、見つめ合う。
その高揚して真っ赤な顔を見ているうちに……
何故か可笑しくなって、お互い笑い合った。
「秀吉さん…子ども出来ちゃうよ?」
「お前養うくらい、なんて事ない」
「子どもにも、すごいヤキモチ焼きそう」
「……っ、それは言うな」
くすくすと笑い合い、抱きしめ合って、幸せのまま二人で眠りに落ちていった。
「吐け! 舞の唇を奪ったと認めろ!」
「俺は知らねぇ」
「俺は見てたんだぞ、この目で!」
「知らねぇって言ったら、知らねぇ!」
軍議後。
激しく言い合い、睨み合う秀吉と政宗を見ながら。
舞と家康は呆れ笑いをしていた。
「何あれ、ばっかみたい」
「あは、あはは……」
しどろもどろになる舞を、家康はしげしげと見つめ、ちょっと感心したように息を呑んだ。
「……舞、女の顔になったね」
「は?」
「秀吉さんに、ちゃんと愛してもらえた?」
「なっな……っ!」
絶句して俯く舞を微笑ましく見ていると、その様子を見たのか、秀吉と政宗が急いでやって来た。
「家康、てめぇも手を出すなっ」
「違いますよ、別に」
「あ、舞、これやるよ」
「……っ! だから政宗、舞の頭に触るなっ」
なんだか、ものすごくうるさい秀吉を尻目に、政宗はニコニコとして舞の頭に簪を刺す。
小さな硝子の飾りが付いた、金の簪。
見覚えのある簪に、秀吉は目を丸くした。
「あれ、それ……っ」
「御殿の前で拾った。 秀吉、お前の趣味は丸わかりなんだよ」
「……っ! 俺の馬鹿……っ!」
「あのー……政宗、ごめんね」
舞は頭の団子髪から、すっと簪を抜くと、申し訳なさそうに政宗の手に渡した。
「受け取れない」
「なんでだよ」
舞は少し頬を染めて言った。
「私は秀吉さんのだから……ごめんなさい」