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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第30章 純恋花〜君に狂った花になる〜 / 豊臣秀吉





「お迎え、ご苦労さん。 気をつけて帰れよ」


その何とも余裕めいた言い方に……
秀吉は無性に腹が立って、そのまま舞の腕を引いて、その場から立ち去った。


「秀吉さん?! ちょっと……政宗、またねっ」


舞が腕を引かれるまま、何かを言っているようだったが、それを聞いている余裕はなかった。

ずんずんと舞に歩調も合わせず、早足で歩く。

舞に口付けた、政宗に腹が立ったのか。
―――いや、違う。


(なんで、俺はこんなに…………っ)


馬鹿みたいに必死で大人気ない自分に。
一番腹が立っていた。






















「秀吉さん……っ、痛いよっ」


舞の言葉も聞かず、自分の御殿に連れてきた秀吉は、そのままの歩調で自室へと向かった。

行灯も灯っていない、薄暗い自室に舞を放り込む。
そのまま自分も入って、後ろ手でぴしゃりと襖を閉めた。


「秀吉さん……?」


そして、戸惑っている舞を、壁際まで追い込み……
壁に押さえつけるように、両手を頭の上で固定すると、有無も言わさず、唇を奪った。


「ん……っんん……っ」


貪るように、舞に激しく口付ける。
逃げる舌を絡めとり、噛みつきながら、何度も口の中を犯した。

舞が身じろぐも、逃がしはしない。

片手で手首を固定し、空いてる片手で舞の腰を引き寄せる。

身体が密着し、余計に口付けが深くなった。


「あ……っ秀吉さ……んんっ」


息つく暇もない激しい口付けに、舞は身体を震わせ……

やがて腰が抜けたように、脱力して、ずるずるとへたり込んだ舞を、そのまま畳に組み敷いた。


「……っ、秀吉さん、どうしたの…っ?」
「……るな」
「え?」
「他の男に、触れさせるな」


掠れる、余裕のない声。
熱を帯びた、刃物みたいな眼差し。

今まで見たこともない秀吉の姿に、舞は目を見開いた。

秀吉はいつも優しく、大人で。
壊れ物を扱うかのように、優しく触れてくれていたのに。

今はこんなに荒々しくて、強引で。
手首を掴んでいるその手も、燃えるように熱い。

強欲にまみれたその姿に、心臓を鷲掴みにされたような心地に陥った。








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