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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第30章 純恋花〜君に狂った花になる〜 / 豊臣秀吉





(なんだ、これ、面白くない)


この場に居もしない男が、舞を笑顔にしている事に、秀吉は無性に腹が立った。

キョロキョロと廊下の辺りを見渡す。
運良く、今は誰も居ないし、通る雰囲気もない。


「舞」
「ん? どうし……わぁっ」


秀吉は舞の手首を引き、胸の中に抱き寄せた。
すっぽりと収まるその小さな身体を、片手で抱きしめ、もう片手は顎に当てる。

そして、くいっと上を向かせると、そのまま唇を塞いだ。


「ん…っふ……っ」


甘い舞の吐息を奪うように、舌を絡め取る。
そして、何度も柔い場所に噛みついた。


「……っ、秀吉、さん、あ……っ」


そのまま首筋に唇を滑らせた秀吉に、舞は焦ったように声を上げた。


「だめ、駄目だよ……っ」
「少し、静かにしてろ」
「……っ」


ちゅう……っと甘く噛みつくと、首筋にほんのり赤く痕が残る。

それを確認すると、秀吉は少し満足して身体を離した。


「うん、良し」
「何が良しなの……びっくりした……っ」
「誰も居ないんだから、いいだろ?」
「……もうっ」


舞は噛まれた首筋を押さえながら、真っ赤になって睨んでくる。

その表情もなんか可愛いと言う事に、本人は気づいてないらしい。


「秀吉さん、なんか拗ねた子どもみたいな顔してる」
「え?」
「好きなものを取られたみたいな顔」



(…………っ)



舞に指摘され。
気がついてしまった。

政宗に嫉妬した、と言う事実に。



(くそ……っ、カッコ悪ぃ……)



「秀吉さん? 顔真っ赤だよ、大丈夫?」


思わず赤面した顔を手で覆う秀吉を、舞は不思議そうに眺めていた。























「俺……どっか狂ってんのかな」


そう秀吉がぽつりと漏らしたのを、家康は聞き逃さなかった。

その日の午後。
舞と市へ行く予定が外れ、安土城の書庫で一人、ため息をつく秀吉を見かけた家康。

秀吉のあまりに落胆した様子が心配になって、声をかけた。


「悩み事ですか、秀吉さん」
「家康」
「俺で良ければ聞きますよ」


家康の申し出に、秀吉は少し困り笑いになって……
やがて、ぽつりぽつりと話し始めた。



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