第28章 純愛の手ほどき、シテくれる? / 伊達政宗
「ちょっと、政宗……っ」
政宗は安土城の裏庭に舞を連れてくると、そこで手を離した。
そして庭の壁際に舞を追い込み、顔の横で手をつく。
舞は政宗の腕に閉じ込められ、俯いた。
「この……馬鹿っ」
「えええっ、馬鹿?!」
「馬鹿だから、馬鹿って言ってんだ!」
政宗のあまりの物言いに、舞は口をぱくぱくさせる。
そんな舞を見て、政宗は不機嫌そうに続けた。
「全部聞いたぞ、秀吉に」
「え……」
「なんで俺に言わないんだよ、俺が解んないとでも思ったのか?」
「秀吉さん……相談したの、昨日なのに」
「あいつクソ真面目だからな、今朝御殿に怒鳴り込んできた」
その様子がありありと思い浮かんで……
舞は目を丸くさせる。
「お前の男は俺だ、過去の男の話なんか引きずるな」
「だって、政宗に嫌われたくなかったの…っ」
「嫌いになんかならねぇよ。 なる訳ないだろ」
「で、でも……んっ」
あまりに言い訳がましいので、政宗は舞の唇を塞いだ。
噛みつくように舌を絡め取り、逃げ場を無くす。
「ん……っぁ……」
何度も何度も角度を変えて、深く口付けると舞は大人しくなり……
やがて唇を離すと、二人の間に名残が伝った。
「俺が教えてやるから」
政宗は舞を抱き寄せると、耳元で囁いた。
「俺は下手でも、なんでも関係ない。 でも、お前がそれで納得出来ないなら、俺がちゃんと教えてやる」
「政宗……」
「だから……抱かれろよ。 言っただろ、俺はいつでもお前を抱きたいんだ。 もう、ただ見てるだけじゃいられない」
優しい声色に、舞は思わず涙ぐむ。
少し鼻をすすると、泣いているのに気づかれて。
政宗はくすっと笑って、涙を舌で舐めた。
「泣き虫」
「ご、ごめ……っ」
「……来るか? 御殿に」
「え、今……?」
「今すぐお前が欲しい」
政宗の直球な言葉に。
舞は少しはにかんで、こくっと頷いた。
「……今度こそ、逃がさねぇからな」
そう言って、政宗は再度舞の唇に、己の唇を重ねた。