第28章 純愛の手ほどき、シテくれる? / 伊達政宗
「政宗、待って!」
部屋を出て行こうとする政宗を必死に呼び止めると、政宗は振り返りもせずに、こう言った。
「お前が抱かれたくなくても、俺はいつでもお前を抱きたいんだ。 中途半端に煽るな、こんなに身体が疼いたままで……俺はどうすればいいんだよ」
その寂しげな後ろ姿に、舞は何も声を掛けられなかった。
(辛いよな、政宗。 同意しちまう)
身体に疼いた熱を一人で収めるのが、どれだけ辛くて情けない事か。
同じ男の身として、秀吉にはよく解る。
いくら舞が泣いても、こればっかりは舞が悪いだろう。
ここで、ようやく冒頭に戻る。
「なんで政宗を拒む。 まさか本当に政宗に抱かれたくないのか?」
「ち、違うよっ!」
舞は思わず叫んで、立ち上がった。
瞳に涙をいっぱい溜めて睨むので、秀吉は挫けそうになりながらも、舞をなんとか落ち着かせて座らせる。
「じゃあ、何故。 ちゃんと理由があるんだろ?」
「…………っ」
舞は言いにくそうに口ごもったが……
やがて観念したように、ぽつりぽつりと話し始めた。
「自信がないの……私、こう言う経験少ないから……」
「誰だって最初から慣れてる訳じゃない」
「でもね、昔恋仲だった人に、言われた事があるの……お前下手だなって。 私は気持ちよくなってもらおうって一生懸命頑張ったのに…なんか全然駄目だったみたいで」
「あー……」
「それから怖くて、また同じだったらどうしようって。 私、政宗に同じ思いさせたくない……っ」
そう言って押し黙ってしまった舞に、秀吉は掛ける言葉が見つからず、思わずうなだれた。
『お前、下手だな』
そう過去に言われた一言で、舞は臆病になってしまっているのだ。
話の流れから察するに……多分男のモノを愛撫しようとして言われた事なのだろう。
(こればっかりは練習も出来ないし……)
でも、舞が傷ついたのは確かなのだ。
秀吉は舞の肩を優しく叩き、あやすように言った。