第28章 純愛の手ほどき、シテくれる? / 伊達政宗
話を聞いて、秀吉は呆気に取られたようにぽかんとした。
目の前には涙ぐむ舞。
いや、泣かせたとかでは無い。
単に悩み相談を受けていたら、話している最中に泣き出してしまっただけだ。
(男としては、政宗に同意してしまうんだが……)
秀吉は頭痛そうに、こめかみを押さえた。
話は三日前に遡る。
少し前に、晴れて恋仲となった政宗と舞。
その日の夜、舞は政宗の御殿に泊まりに来ていて……
まぁ、恋仲同士で夜に泊まりに来たとなれば、そーゆーアレな空気になるのは必然的。
その心構えで居たはずなのだが……
「ん…っあぁ……っ」
政宗に肌をまさぐられ、舞は甘い息を漏らした。
するすると、器用に夜着の帯を解かれる。
潤んだ目で見ると、政宗は愛しそうな熱い視線を、舞に向けた。
「その顔、最高に可愛い…もっともっと、お前のいろんな顔を見せてくれ」
褥にやんわり押し倒され、政宗の手が身体中を這っていく。
首筋を甘く噛みながら、脚を撫で上げられ……
その慣れた手つきに、舞は思わず身体を強ばらせた。
「ま、政宗、ちょっと待って!」
突然、下から手で肩を押され、政宗はびっくりしたように顔を上げた。
「どうした」
「あの……っ」
「なんだ、痛かったか?」
「ち、違うの……その…っ、やっぱり今日はそんな気分じゃないって言うか……」
その言葉に、政宗は思わず怪訝な表情を浮かべる。
「なんだよ、この前もそうだったよな。 途中でやめてって……」
「ごめんなさい」
「なんか理由でもあるのか?」
「理由なんてないよ、ただ気分が乗らないだけで」
中途半端な答えに納得がいかない。
政宗は舞の肩をぐっと押さえ、顔を覗きこんだ。
「……俺に抱かれたくないのか?」
政宗の一言で、舞の顔が引きつった。
舞は嘘が苦手だ、図星を指されたのだと。
政宗はそう確信した。
「……あー、そうかよ、解った」
「……っ、政宗っ」
明らかに傷ついた顔をして身を起こした政宗を、舞呼び止めていた。
思わず腕に触れようと手を伸ばすと、政宗はウザったそうにそれを振り払う。