第3章 愛しい爪先に口付けを / 伊達政宗
「舞、降ろすぞ」
政宗は光秀と別れ、舞を褥へと寝かしつけた。
光秀の言葉が、頭を離れない。
『飲んだら最後、理性を狂わせ、身体は熱く疼き……慰めてもらうまで治まらないとか』
改めて舞を見る。
舞は、ずっと政宗の名を呼び続けていた。
今も。
「政宗……は、あっ、政、宗……っ」
その切なさを帯びた声色に、政宗自身もかなりやられていた。
こんな濡れた声で呼ばれ続けていたら、こっちの方が身体が疼いてしまう。
「舞……」
政宗は舞の上に、覆いかぶさった。
そして、髪をそっと梳いてやると。
「あっ、はぁ……っ」
それだけで舞は背中を逸らした。
(いつも以上に敏感になってるな…)
媚薬なんてものは、政宗も話で知っているだけで、実際に目の当たりにしたのは初めてだった。
だからどこまでやっていいのか、検討もつかない。
(でも、舞が熱に侵されているなら…俺はそれを癒してやるしかない)
そう思い、舞にそっと口付けた。
ついばむように口付けてから、だんだん深くしていく。
唇を割り、舌を差し入れて、口内を味わう。
舞も舌で、たどたどしく答えた。
ちゅっと音がして唇が離れると、
「あっ、政宗……」
舞は焦がれるように呼び、自分の唇を舐めた。
多分無意識にやっているんだろうが……
政宗の中の熱を呼び起こすには、充分過ぎる材料だった。