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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第21章 甘味よりも甘い物 / 明智光秀





『男か』
『な……っ!』
『好いてる男に振り向いてもらえるように頑張れ』
『ち、違いますからっ!』





(舞に、好いてる男が居るのは、間違いないだろう)





「光秀さん」





一体、誰なのだろうか。
多分、身近に居る人間と見ていい筈だ。





「光秀さん?」





妥当に見るなら、信長様だろうが。
もしくは秀吉と言うのも有り得る。
甘味を作ったとなれば、教えたのは政宗か。





「みーつーひーでーさんっ!」
「っ!」




突然耳元で怒鳴られ、光秀は我に返った。
気がつくと、舞が目を釣り上げて、こちらを見ていた。


「舞」
「具合でも悪いんですか?」


(そうだ、舞が書物を借りに来たんだった)

当初の目的を思い出し、光秀は焦る事なく取り繕う。



「鉄砲の書物を探しに来たんだったな、ゆっくり探せ」



舞を書庫に案内すると、舞は『わぁ…』と感嘆の声を上げ、興味深々に書物をあさり始めた。

それを遠目に見ながら、光秀はため息を漏らす。



(何を気にしてるんだ、俺は)



こんな気持ちは摘み取ろう。
そう心に決めた筈なのに。

舞の好きな男が気になる。
若干ではなく、物凄く。

そんな自分に、呆れる程腹が立った。


気にした所で、何になる。
別に、舞を応援してやるでも無い。


むしろ、応援出来ない自分に、余計に腹が立った。


「光秀さーん」


気がつくと、舞が本棚の隅から手招きをしている。
近寄ってみると、なんだか物言いたげだ。


「どうした」
「光秀さん、あの本取れますか?」


指さすほうに視線を向ける。
すると、本棚の上の、更に上。

本棚と天井の隙間に、何冊か本が重なっている。


「あれが取りたいのか?」
「はい」
「踏み台があっただろう」
「それが……踏み台に、すごいいっぱい本が積んであって、使えないんです」


(そう言えば、この前三成が書庫を使ったんだった)


光秀は暫し考え……
舞の後ろに回り込む。


「光秀さん?」
「じっとしてろ」


そのまま舞の腰に腕を回し、上に抱き上げた。



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