第17章 Border Love / 信長、政宗
「はぁ……っ、あっ、ああ……っ」
中から、女の喘ぐ声が聞こえてくる。
よく耳を澄ますと、切なく啼く女の声とともに、布擦れの音が響いていた。
政宗はそれを聞き、一瞬でその声の主に辿り着く。
(舞……?)
足音を立てないように、静かに信長の自室に、足を踏み入れる。
そこで政宗が見たのは……
ぐちゅん、ぐちゅん、ぐちゅぐちゅぐちゅ……っ
「んぁあ……っ、信長、様ぁ……っ、ああっ」
四つん這いの舞に覆いかぶさり、着物を乱して、ひたすらに腰を打ち付ける信長と。
襦袢一枚で腰を振り、淫らに喘ぐ舞の姿。
いやらしい音が、部屋中に響き渡り……
(…………っ)
あまりの卑猥な光景に、政宗は思わず後ずさった。
口が乾いて、声が出ない。
思わず息が荒くなり、微かに息を漏らした時。
「っ!」
信長が政宗に気がついた。
視線と視線が絡み合い、言葉を無くす。
信長は視線だけで不敵に微笑み……
ゆっくりした動きで、舞の顎を捕らえた。
「……舞」
信長は優しく舞の耳元で囁く。
一度ぺろりと耳たぶを舐め、
「客だ」
そう言って、政宗のほうに視線を向けさせた。
舞は視界が定まらないようで、目を白黒させていたが。
やがて、政宗に焦点が合うと、真っ青に青ざめた。
「政宗…………っ」
「…………っ」
政宗は何も言わず、目を背けた。
愛しい女が他の男に喘がされている姿なんて……
誰が見たいものか。
「政宗、違う……違うの、これはっ」
「信長様」
舞の言葉を遮って、政宗は言葉を続けた。
「俺に対しての嫌がらせですか」
「……いや、違う」
信長は、一度舌なめずりをする。
「昨日の戒めだ」
次の瞬間。
ぐちゅぐちゅううう…………っ!