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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第17章 Border Love / 信長、政宗







「政宗、そこまでだ」



場を制するような、凛とした艶のある声。
舞がその姿を目で確認し、涙声で言った。



「信長、様……っ」



背中の向こうに居るであろう、その人に、政宗は視線すら向けずに言い放つ。


「邪魔しないでもらえますか」
「こんな場所で女を抱くとは、無粋だな」
「それはどちらでしょうね」


舞をしっかり胸に抱き、政宗は後ろを振り返った。

白い羽織をはためかせ、鳶色の瞳は炎に揺れる。
信長、その人を目の前にして。
政宗は臆する事もなく、睨みつける。



「その気がない女に毎晩夜伽を命じ、命令で屈させるなんて、そっちのほうが無粋だ」
「舞は俺の物だ。 自分の所有物をどう扱おうと、勝手だろう」
「……っ、舞は信長様の性欲を満たす為の玩具じゃないっ」


信長のあまりの言葉に、政宗は声を荒らげた。
腕の中では舞が小さく震え、それが更に政宗を加速させる。


「貴方に……舞はやれない……っ」


そのあまりに悲痛な叫びに、舞は声を押し殺して泣き始めた。

しかし……
信長は一歩一歩二人に近づき、手を伸ばす。




「舞、来い」
「…………っ」
「俺は貴様が必要だ。 そして貴様も俺が必要だ……違うか」




舞が迷いの目になる。
政宗はそれを察し、舞の両頬を包んだ。



「聞くな、舞、何も迷うな……っ」
「政宗、私……っ」
「俺ならお前を救ってやれる。 腹を斬ってでもなんでも、お前を助けてやる」
「……っ」



舞の瞳が揺れる。
どうしたらいいのか、何が正しいのか。



(正しいのは、俺だ)



「舞、俺と来いっ」

政宗は舞を抱き寄せ、信長とは反対方向に歩き出す。
一時たりとも、信長の傍に居させたくなかった。

それを見つめながら、信長は。
凛とした、けれど優しい口調で言った。




「……舞、愛している」





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