騎士のkissは雪より優しく【うたの☆プリンスさまっ♪ 】
第1章 静炎ブレイブハート
お気に入りのワンピースを着て、前に友だちに教わったメイクもバッチリして、いつもよりも一段と気合を入れて真斗を待った。
「だ、大丈夫だよね!?」
何度も鏡で姿を確認しては、
「よし!」
と頷いてリビングに戻って座るという動作を繰り返す。
「あぁー!早く会いたい!」
なんてソワソワしていると、
ピンポーンとチャイムが鳴る。
小走りで真斗の所に行くと、
「奏!待たせてしまって済まない…。」
いつも通り大人っぽい格好をした真斗が申し訳なさそうに俯いた。
「ううん!気にしないで!」
と首を横に振ると、顔を上げた真斗とバッチリと目が合う。
「奏…!?その格好は…」
真斗は目を見開いてわたしを真っ直ぐに見つめた。
「あの…変じゃないかな…?」
まじまじと見られて顔が赤くなってしまうのが分かる。
「いや、その…とても似合っている。」
それにつられたみたいに、真斗も顔を赤くして言った。
「良かった…。ふふっ、嬉しい!」
「独り占めしたくなる程に…。」
わたしの笑みに、真斗が小さな声で何か呟いた。
「…ん?どうしたの?」
わたしが聞き返しても、
「いや、何でもない。行こう。」
と微笑んで誤魔化されてしまった。
「うん!あ、真斗もすっごく格好良い…です…。」
改めて言うと恥ずかしくなってしまい、また顔が赤くなる。
「お前にそう言ってもらえると嬉しい。」
真斗はひんやりした手をわたしの手に重ねた。
お互いの体温が混ざりあって、繋いだところだけがとても熱くて不思議な気持ちになった。