騎士のkissは雪より優しく【うたの☆プリンスさまっ♪ 】
第4章 BLUE×PRISM HEART
あれから色々とお店を見てまわったり、ご飯を食べたりしたけれど、どこに行っても真斗は声をかけられ少し困った様子だった。
帽子とマスクを買って変装をしていてもバレてしまうのだ。
「真斗、大丈夫…?」
手を繋いで歩きながら、真斗の顔を覗き込んだ。
「あぁ。しかし、お前は楽しくないのではないか…?」
真斗は寂しそうな声音で尋ねる。
「そんなことない!真斗と一緒に居られて、楽しいよ?」
にっと笑って見せると
「そうか、それならよかった…。」
真斗も安心したように言った。
「ねぇ、真斗…あの…きゃっ!!」
真斗に声をかけると、突然人の波に押されてしまい、繋いだ手が離れてしまった。
「あっ!まじだ!聖川真斗居るよ!」
「キャー!真斗くーん!!」
「聖川様こっち向いてー!」
今までで一番人に囲まれてしまい、わたしと真斗は、はぐれてしまった。
「え…っ。ま、真斗…?」
声を上げても、囲む人の勢いに圧倒され結局真斗の姿が見えないままである。
「真斗…。」
折角2人で楽しく過ごしていたのに、ここまでファンの人に迫られてしまうとわたしも下手に動けない…。
この場を2人で逃げたいけれど、どうすることも出来かった。
すると、じわりと涙で視界が滲んだ。
「奏!」
急に真斗に手を引かれ、そのままわたし達は走り出した。
人気の少ない通路まで着くと、真斗は壁に寄りかかった。
「はぁ…。突然走り出して済まない…。
お前が泣きそうな姿が見えて、連れ出してしまった。」
「ううん…。でも、あんなに人が居たのに…。」