第20章 おそ松さん〈松野一松〉
『磯臭いー!』
海だー!と大きな声で叫びながら
砂浜を走っていく
の後ろ姿をながめる。
何でここにきたのか。そんなの自分にだって分からない
カラ松から奪いたかったのか
自分だけのものにしたかったのか
〈愛の逃避行〉なんて言葉にしても
自分でも納得出来る言葉なんか見つからない。
ただただ、と一緒にいたい
自分だけなんて望んでなかった。
ただただ、6人とも横並びでの近くにいたかったんだ
みんなのであって欲しかったんだ
なんて言えるわけでもなくて
分かってもらえるわけでもなくて
少しでもに近づけたら何か分かるかとも思ったが
兄弟と猫としか関わってこなかったクズが
答えを導き出せるわけでもない
『いーちーまーつー!』
サンダルを片手にもち、こちらへ戻ってきた
は、よっこしょ!何て言いながら
隣に腰を下ろす
海風と共にふわりとのシャンプーの匂いがした
『一松なんか話したいことあるんじゃないの?』
足についた砂を落としながらは僕にそう問いかける。
白い足についた砂が嫌にいやらしく目に映った。
「なんで、カラ松だったの?」
そう言えば、砂を払う小さな手がピタリと止まり
『うーん』なんて考えている様な声を上げる
「6人ともずっと一緒にいたし、顔だって同じでしょ?」
『まあ、そうなんだよね。
みんな好きだよ、私』
「気の多い事で」
『えへへ
カラ松はさ、私じゃないと幸せに出来ないと思ったんだよね。』
『カラ松を幸せにできるのは私だけだ!みたいな』
ビシッ!といった効果音が付きそうな声に
の方へと目を向ければ
発言とは裏腹に、頬を赤く染めふにゃりと笑っていた