第20章 おそ松さん〈松野一松〉
「今日カラ松と約束してたんじゃなかったの?」
急にかけられた声に、一松へとまた視線を戻せば
一松はこちらへ視線を向けるでもなく
、窓の外を眺めている。
『んーん、特に約束はしてないよ
今日は暇だったから』
「ふーん」
チラリと見る一松は、まだ窓の外を眺めていて
なにを考えているのか私にはさっぱりわからない
『ねえ、どこに行くの?』
痺れを切らしてそう問えば
一松はすくりと立ち上がりここで降りるよ
そう言って、にこりと笑いながら
こちらに手を差し出す。
一松笑顔は子供の頃に見たものと変わらず
握った手は子供の頃繋いだ手よりも
大きくて骨ばっていた。