第17章 BLEACH《黒崎一護》
私が彼を好きになったのは
きっとあの日だった。
お姉ちゃんを迎えに行く為、
2つ上の3年生の教室へと向かう
テスト週間部活動もない為
3年の教室へと向かう廊下は静かで
自分の足跡だけが響く様に聞こえる
廊下から見える校門には
まばらに帰る生徒と、先程より薄暗くなり
始めている空が見えた
『遅くなっちゃった、お姉ちゃん怒ってるかな』
少し早歩きで教室へと向かった。
お姉ちゃんの教室へと近づくと
声どころか物音ひとつしない
そろりと、扉に手をかけ
顔を覗かせながらゆっくりと扉を開ければ
先ほど傾きかけていた太陽が
さらに斜をつけ、静かな教室を
オレンジ色に染め上げている。
ゆっくりと足を踏み入れれば、
窓際の席に見慣れたグレーのブラザーが
机に突っ伏して寝ている。
その髪はこの教室同様
オレンジ色で、夕焼けのオレンジと混じり
キラキラと輝いて見えた
無意識にその髪へと近づくと
近くで見たそれは、
柔らかそうに風でなびき
尚もの瞳を掴んで離さない
無意識のうちに、そっとその髪へと手を伸ばす
さらりと髪を掬えば
手の中でさえも、熱くオレンジに輝く
その髪をダイヤモンドでも見つめるかのように
眺める
思った以上に柔らかい髪質を楽しむように
指を通せば、そのオレンジの人は
ぴくりと動きこちらへと顔を上げ
髪に触れていた手をガシリと掴む
「あ?!お前だれ?」
こちらを見上げ、眉間にしわを寄せ
手首を掴む力が弱くなる
急に自分がしていたことを思い出し
顔に熱が集まるのを感じた。