第13章 おそ松さん《4:松野チョロ松》
AM6:30
ピピピ ッカチ
水曜日の朝
目覚まし時計もスリーコールで止め
猫のように伸びをする。
耳を傾けるとトントントンと
小気味いい音が聞こえる
ベッドから起き上がりカーテンを開ければ
気持ちのいい柔らかな朝日が部屋に差し込む
コンコンコン
寝室の扉がたたかれ
扉の向こうからチョロの声が聞こえる
「ちゃん?起きてる?」
『うん、今起きたよ。おはよう』
寝室にノックをして入ってくるのは
松野の家三男 チョロ松だけだ
扉を開ければ
キッチリとエプロンを着こなし
テキパキと準備をするチョロ松の姿が目に入る
『いい匂い♩水曜日って感じだよ〜』
そう言って、エプロン姿のチョロ松に後ろから
抱きつけば 背中越しにもわかるくらい
ドクリドクリと心臓が早まり
耳まで真っ赤にそめるチョロ松に
クスリと笑いが溢れる
「‥‥‥‥‥」
ぴくりとも動かないチョロ松に
苦笑いしごめんねと謝る
『チョロシコスキーは、いつもいつも初々しいね』
「うるせぇ!早くご飯食べちゃって!」
『はーい、頂きます』
ダイニングテーブルに座ると
持参されたモスグリーンのランチョンマットの
上に、お味噌汁と炊きたてのご飯
箸が几帳面に並べられている
「はい、おまちどおさま」
そういって、コトリと置かれた皿には
大根おろしにとろりとなめ茸がかかり
隣には、湯気の立つふっくらとした
出し巻き卵がのっている
『これこれ、チョロ松の出し巻き卵が
楽しみすぎて水曜日は起きるのが楽しみなの』
そう言うと、チョロ松は嬉しそうに向かいの席に
座り、2人分のお茶を入れてくれる
ふっくらとした出し巻き卵を
箸でそっと割れば、中から
黄金の出汁つゆが溢れ出す
一口口にいればお出汁の優しい味と玉子の甘さが広がる
二口目は、玉子の上に大根おろしとなめ茸を少しのせ
口の中に入れれば先程とは違う
濃いめの味付けに、ご飯が進む
『ふぁ、本当に美味しい』
「本当にちゃんは美味しそうに食べるよね」
かわいい。と自分の口から漏れた言葉に
チョロ松は1人で慌てふためく
最後にお味噌汁を飲み干すと
ゆっくりと箸を置く