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sing sing sing!!!《短編集》

第1章 おそ松さん《松野 おそ松》






「ひっどいな〜」

気に入らないというように頬を膨らませる彼に


『アンタも私の事知らないんじゃないの?』

おあいこじゃない、そう言うと悪戯そうに笑う。




少し間を置いて

「の事、知ってるよ」

ニカリと少し照れ臭そうに笑う彼に

の口角が少しあがる


『あ、わかった』


「え?」


はスカートを払いながら立ち上がると
数歩前に出てこちらを振り返った




『アンタ、おそ松でしょ?』



「え、なんで‥‥」



『私の事いつも見てるのは〝1〟だもの』



「ーーーー?!」



カッと
辺りが涼しく感じる程
熱をもった顔を隠すように
足を折り曲げ手のひらで覆う。



ジャリジャリと砂を踏む音に
指の隙間から少し目を開けると
のローファーが見える


三角座りに頭を埋めたおそ松の前に
しゃがみこむに

小さく深呼吸をしそっと顔をあげると


目の前にあるの整った顔に
どきりと胸が跳ね上がる



彼女は顎に指をかけ、どこぞやの愚弟真似をする




『ビンゴ〜?』



「クソが!」

悪態をつけば、何が面白いのか
クスクスと笑う


腹が立ちながらも、
いつも見ていた笑顔が目の前にある事に

いつの間にか自分の口角があがっていく


「おいコラ、笑い過ぎ」

そういうと、パチリと目が合い
先ほどとは違う色っぽい笑顔を見せた。


唇にチュっと軽いリップ音を残し


じゃあ、と立ち上がる

『そろそろ戻るわ
おそ松も次はちゃんと出なさいよ〜』

は何も無かったかのような涼しい顔をしている


「え、なに」



「なに?!これどゆこと?!」



「え」


「ちょっと、ちょっとー?!」


はこちらを振り向く事はなく
背中をむけヒラヒラと手を振り
校舎の影に見えなくなった。


馬鹿になる程熱く熱をもった唇に手を当て
校舎に背中を預ける


「あっつい‥‥」


そう呟くと、通り抜ける風を感じながら
目を閉じた。



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