第7章 血界戦線《ザップ・レンフロ》
見ている。
俺は、朝からずっとデスクに向かう
の前に立ち、ずっとみている。
『あ、あのザップさん?』
大きくクリクリとした瞳を泳がせながら
淡いピンクのふっくらとした唇を開き
おどおどと俺の名前を呼ぶ
「何だよ」
『何かご用でしょうか?
あの、さっきから見られているようで』
穴があきそうです。と言うと
紅く染まった顔を手で覆う。
可愛い。
そう、無茶苦茶に可愛い。
気の強い女か、ゴリゴリの男しかいなかったライブラに
こんなにも初々しく可愛い生き物が居ただろうか
「1発ヤラせーーーっ」
ズドンという音とともに
何処からとも無く現れるチェインに踏みつけられる
「おいコラ!オメェいい加減にしろ」
「駄目よ、目合わせたら」
妊娠するよ?そう言いチェインは
ぎゅっとの頭を抱え込む。
ずっとこうだ、彼女が事務としてライブラに入ってきてから
もうすぐ半年が経とうとしているのに
まだろくに喋ったこともない。
代わる代わる誰かがやってきて
俺を遠ざける。
はあと大きく溜息を吐き
チェインに言い返すこともせずソファに座る。
いぬ女も居なくなったのか静かな事務所に
静寂が広がっていた
タバコに火をつけ、カタカタとが
パソコンを叩く音を暫く聞いていると
『あの‥‥』
「ん?」
声のした方を振り向くと、
『コーヒー、入れましょうか?』
「ああ、ありがとう」
不安げに声をかけてくるの姿に
クスリと笑うと
は、下げていた眉尻をパッとあげ
ふわりとした笑顔を見せる
『す、すぐに持ってきますね!』