第5章 血界戦線《スティーブン・A・スカーフェイス》
街がクリスマス一色に染まり
通り過ぎる恋人たちは皆浮き足立っている
そんななか、仕事帰りのは
HLでもハイレベルなホテルから
白い息を吐きながら姿を表す
クンクンと、上着の匂いを嗅ぐと
微かに血の匂いと焦げ臭い匂いが香る
『最悪、高かったのに』
周りの浮き足立つ雰囲気が尚更に彼女をイラつかせる
いつもの香水を、2、3振り多くふりかけると
また、夜の街を歩き出す。
道なりに色づくイルミネーションを眺めながら
歩いていると、前から見覚えのある姿が目につく
近くまで近づくと、
スティーブンと若い女が肩を寄せ合いながら歩いてくる
親しそうに肩を抱き
女性は覚束ない足取りでスティーブンに腕を絡ませている
そんな恋人の姿から目をそらし
お互い目を合わせるでも無くすれちがった。