第2章 おそ松さん《松野 一松》
気付いたら、カラ松の背中の上で
「起きたか?」
と、かけられる声にまだ寝たふりをした。
次の日路地裏に猫缶をもって行くと
『おはよう』
はいつもと変わらない
柔らかな笑顔をみせる。
しゃがみこむの前にたつと
『ごめんね』
猫を撫で下を向いたまま小さな声が聞こえた。
『あたしてっきり、キスしたあとも
避けられなかったから
受け入れてもらったもんだと思っちゃってて』
本当にいったいよね。なんて言うが
今どんな顔をしているのか
笑った顔しか見たことがない僕にはそれさえも
わからない
「アンタはその、、なんでキスしたの?」
そう聞くと、驚いた様に顔をあげ
『えっと‥‥』
視線を泳がしながら
白い頬が段々赤く染まっていく
「僕はアンタが好きだよ」
そう言って少しかがんでしゃがみこむ彼女にキスをすれば
パチパチと数回瞬きをして
またいつものへにゃりとした笑顔をみせる
『アンタじゃないってば』
そう笑う彼女に
「好きだよ」
自分でも恥ずかしくなる様な甘い愛を呟く声が出た。