第3章 赤葦メインで誕生日
えー、突然ですが、本日は私の誕生日です。
だからって、誰にも教えてないし誕生日を喜ぶ年齢でもないし。
それを理由にプレゼントが欲しいとか思う事もないので、何もしないつもりだ。
いつも通り、バイトを終えて帰宅する。
普通に食事を作ろうと、リビングに入ったら驚くべき光景が目に入った。
テーブルの上に、何故かたこ焼きプレートがセットされたホットプレート。
その横には、生地が入ったボウル。
他にも、刻まれたキャベツやらタコやら明太子やらの具材の数々。
何をしたいんだろうか、うちの住人は。
この状況を見ると、キッチンが使われただろう事は分かる。
片付け、誰がすると思ってるんだ。
溜め息を吐いて、キッチンの確認をしようと足を向けると、そこに人がいた。
「…あぁ、りら。おかえり。」
「…ただいま帰りました。」
片付けをしていたらしい、赤葦さんが泡の付いたスポンジを持ったまま振り返る。
つい、不機嫌を表す笑顔を作ってしまった。
「…どうかした?」
「それは、こちらの台詞です。」
「たまには、りらにも楽をして貰おうと思って。」
いらない気遣いである。
だって、私は皆のご飯を好きで作っているんだから。
「片付け、やりますから代わって下さい。」
まぁ、やってしまったものは仕方がないけど。
基本的にキッチンの物を人に触られるのは好きではない。
強引にスポンジを奪おうと手を伸ばした時、指先に巻かれた物が見えた。