第8章 命懸けの復活
「とにかく捜査の続きを……」
目暮警部は1つ咳払いをして、また捜査を再開した。
「それで?飲み物は死んだ蒲田さんが自分で買って来たのかね?」
「あ、それ私です!」
答えたのは鴻上舞衣さん。彼女は模擬店で4人分の飲み物を買い、席に座っている3人の所に持って行ったらしい。
その後、鴻上さんの隣にいた三谷陽太さんに4つ共預け、鴻上さんはトイレに行ったそうだ。
三谷さんは、自分の烏龍茶と鴻上さんのアイスコーヒーを手に持ち、野田に手渡した。そして野田さんが自分の分のオレンジジュースと蒲田さんのアイスコーヒーを受け取り、蒲田さんに渡したらしい。
「すいませんが……あなた方と蒲田さんの関係は?」
私が3人に訊くと、鴻上さんが答えた。
「この高校の卒業生で4人共演劇部……偶然今の職場も一緒で、学園祭の劇を4人で見に来るのが毎年恒例になってたんです……」
「でもまさか蒲田がこんなことになるとは……」
「自分の学説が認められるかもしれないって喜んでいたのに……」
学説……か。
私はふむ、と考え込んだ。
「しかし何であんた1人で4人分の飲み物を買って来たんですか?1人で4つも持つのは大変でしょーに……」
小五郎さんが呆れたように訊いた。鴻上さんが答える。
「混んでいたから、みんなには先に行って席を取っておいてもらったんです……。後で蒲田君が来て、買うのに付き合ってくれていたんですけど……急に青い顔して席に戻っちゃったから……」
「青い顔……?」
目暮警部が不思議そうな顔をした。そこへ──
「きっと売り子の中に私がいたからじゃないでしょうか……」
瀬里奈もよく知る後輩が入って来た。蜷川彩子ちゃん、4人の働く米花総合病院の院長の娘だ。4人の飲み物をカップに入れて売ったのも彼女らしい。
「なるほど……。つまりや……蒲田さんの飲み物の中に、誰かが青酸カリを入れたんやとしたら……その誰かはあんたら4人の中におるっちゅうこっちゃな!」