第8章 命懸けの復活
「きっかけはそう……杯戸シティホテルでの一件……夢にも思わなかった……まさかピスコの他にも、瀬里奈さんともう1人、彼らの仲間がいたなんて……」
哀ちゃんはコナン君に銃を向けたままそう言った。
私がフフ、と不敵に笑いながら話す。
「そして私とその人の証言で、組織は彼女が薬で幼児化した可能性があると疑い始め……今朝、組織は彼女の居所を突き止めたってわけ……」
まぁ、場所をリークしたのは私だけれど。私はベレッタの引き金においている指にグッと力を入れた。
哀ちゃんが無表情に言った。
「すぐに殺されると思ったけど、彼らは私に『組織に復帰すれば裏切りは不問に付す』と言ってきた……理由は、私が抜けて滞っているAPTX4869の研究を一刻も早く進めたいため……」
コナン君は本気で焦っているようで、私はニヤ、と笑いをこらえきれなかった。
「……それで?組織の存在を知っているオレを殺りに来たってわけか……」
「ええ……それが私を受け入れる時の彼らが出した条件……」
「あ、もちろんウチの両親も大阪の平次君も、組織の存在を知っている人は明日には消されるらしいわよ?」
私はベレッタの引き金に指をかけたまま、ニコリと笑って言った。
哀ちゃんがシェリーの顔になって引き金をグッと引こうとする。
「ごめんなさいね……博士が人質に取られているの……今の私には彼を助けるだけで精一杯……。でも感謝してよ……あなたが両親や友達の死に顔を見ないように……真っ先に逝かせてあげるんだから……」
そして哀ちゃんは引き金を──引いた。