第8章 命懸けの復活
「蘭ちゃん……もう寝たら?」
「いえ。私、もう少しコナン君看てます」
頑固に寝ようとしない蘭ちゃんに呆れつつ、私は子供達を車で送ることにした。阿笠博士が子供達を送ると言ってくれたが、私は「弟のせいで迷惑かけちゃったから、これくらいは」と博士に無理を言ったのだ。
「ごめんね今日は。コナン君のことで心配かけさせちゃって」
運転中、子供達にそう言うと助手席に乗っていた元太君が笑顔で言った。
「いーんだよ姉ちゃん!今度うな重腹一杯食わしてくれればいいぜ!」
そんな彼に歩美ちゃんと光彦君が呆れた声を出した。
「もう、元太君はうな重のことしか頭にないんだから!」
「そうですよ!まったく」
珍しく哀ちゃんが笑う。
「フフ……」
私も苦笑するが、コナン君の容体が頭から離れない。
そんな中で子供達を順に降ろしていき、最後に哀ちゃんが残った。
「助手席来る?」
そう誘ってみると、意外にも素直に助手席に乗った。
「ねえ哀ちゃん……新一のこと、心配?」
哀ちゃんは驚いたように私の方を見た。そして長いまつ毛を伏せる。
「そうね……体のことよりも、彼が彼女に組織のことを漏らさないか、って所が心配だわ」
「それは同感」
私はよく言った、と言わんばかりに頷いた。
ふと、赤信号に引っかかる。
「あーん、まただ……。最近よく信号に引っかかるのよね……」
はぁ、とため息をつく。「そーだ!」いきなり私は声をあげた。
「いっそのことあいつに釘刺しに行ってよ!組織に漏らしたらどうなるかってさ!」
「それは構わないけど……組織の人間であるあなたもいた方が信憑性が上がるんじゃない?」
哀ちゃんがもっともなことを言った。だが私には1つ懸念があった。
「でも新一は私が組織に入ったってまだ知らないのよね……いっそ、そこでカミングアウトしちゃうか」
哀ちゃんはさほど興味なさそうに聞いている。
「車は私が回せるから、いつ何時に行くかだけメールで教えて。そしたらその時間に迎え行ってあげるから」
「ありがとう瀬里奈さん」
哀ちゃんは小さく笑った。私もつられて笑う。