第8章 命懸けの復活
それからすぐのことだった。
「えっ!?新一が!?」
家の中なのをいいことに、私は大声で叫んだ。電話相手は哀ちゃん。
『ええ。洞窟で強盗犯に会って、腹部を撃たれたらしいの……』
「病院はどこ!?」
『米花総合病院よ。……ってまさかあなた……』
私はそれを聞くなり家を飛び出した。駐車場に停めてある車のエンジンをかける。免許を取っていてよかった、と今心から思う。
「コナン君!」
私は慌てて手術室に来た。ちょうどコナン君が手術室から運ばれる所であった。
「瀬里奈お姉さん!!!」
少年探偵団、蘭ちゃんが声を揃えて言った。
「みんな!コナン君は?」
「病室に運ばれました!」
「案内して!」
蘭ちゃんに案内を頼み、2人で病室に向かう。
「蘭ちゃん平気?」
「え?」
「具合悪そうだから……」
蘭ちゃんの顔色は少なくともいいとは言えない。話を聞けば、蘭ちゃんはコナン君に自分の血を400㏄輸血したらしい。
「大丈夫なの!?」
「はい……私あの子と同じ血液型なんで……」
「そーゆう問題じゃないわよ。ったく……」
私は頭を抱えた。
やがて病室に着き、コナン君の顔色を見る。顔色はだいぶ血の気があり、麻酔が効いているのかぐっすり眠っている。
「……こうして見ると、コナン君て本当に新一みたい……」
ぎくっとした。蘭ちゃんは口から出ただけなのだろうが(むしろそうであってほしい)、それでも心臓に悪い。
「親戚だからね。顔立ちもよく似てるって言われてたよ」
「そうなんですか……」
蘭ちゃんは表情を暗くしたまま言った。私は思い切って蘭ちゃんに訊いてみる。
「ねぇ蘭ちゃん……コナン君のこと、新一だと思ってるの?」
そう訊くと、蘭ちゃんは驚いたようにこちらを見た。何で、とその表情が語っている。
「何だか……蘭ちゃんのコナン君を見る目が、新一を見る目に似てるからさ。違ったらごめんね」
私が謝ると、蘭ちゃんは首を横に振った。
「いえ、本当にその通りで……。きっと新一、何かの事件に巻き込まれて、姿を隠さなきゃならなくなったんだと思うんです。それで、博士に作ってもらった薬で小さくなってる──なんて、突拍子も無い話なんですけど」
そう言う蘭ちゃんに、私は苦笑した。さすが迷探偵と弁護士の娘、鋭いことこの上ない。