• テキストサイズ

白い雪【名探偵コナン】

第8章 命懸けの復活


「うん。メルアドを教えてくれたのよ、ベルモットのと、ボスの。携帯に登録はするなって言われてるけどね……」

そこまで話すと、誰かの足音がした。2人でハッと顔を見合わせ、哀ちゃんはパソコンに向き直った。

「こんにちはアーイ……ちゃん……」

入って来たのは蘭ちゃん。ノックぐらいしなよ、とは思うが、哀ちゃんに挨拶をしたかったのだろうと思うことにした。

やがて蘭ちゃんが部屋から出て行くと、私はたまらず言った。

「ねぇ哀ちゃん。逃げてちゃ何も変わらないわよ?」

そう言うと、哀ちゃんはパソコンに向いたまま言った。

「……何の話?」
「とぼけないの。分かってるくせに」

私は軽く苦笑いする。

「確かにサメはイルカには勝てないかもしれないけど……サメはイルカよりも強いのよ?」
「だから……っ、何が言いたいのよ!?」

カッと感情が高まったらしい哀ちゃんに、私はふっと息を漏らした。

「彼を守れるのは、イルカであるあの子じゃなく……サメのあなただってこと。彼の背中をしっかり守ってあげなさい。出来ないことはあの子や彼に任せればいいんだから、ね?」

仕上げに哀ちゃんの額に軽くデコピンをした。呆気にとられている哀ちゃんに私はウインクをした。

「まぁ見てなさい。暗殺とかの仕事は嫌だって断ったけど、他のことならやるって言ったから。組織の中枢に食い込むことができれば、APTX4869のことも分かるかもしれないし!」

私は軽くガッツポーズをした。そして未だにぽかんとしている哀ちゃんを放置し、

「じゃあ私そろそろ帰るね。おやすみ」

と手をひらひらと振って地下室を出た。

「サメは……彼を守れる……」

哀ちゃんは人のいない地下室でボソッと呟いたことは、私は知らない。

/ 493ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp