第8章 命懸けの復活
コナン君が風呂から上がり、入れ違いに蘭が風呂に入る。
「なーんか変なんだよな……」
コナン君が博士と私に話していた。
「時々感じるんだよ……蘭がオレを見る目や態度が、小学1年生の子供に対してじゃなく、まるで……」
「工藤新一に対してみたいって?」
私が笑ってそう言うと、コナン君は頷いた。
「おいおい、新一君……」
「まー気のせいだと思うんだけどよ……」
私は苦笑いした。
「でも蘭ちゃん、妃さんに似て鋭い所あるからね〜……気をつけたほうがいいんじゃない?」
「バーロ、だったらオレに言ってくるだろアイツは」
そーゆーことじゃないんだけどな……。私は内心呆れた。
「あ、そうだ新一……」
「瀬里奈さんは私と一緒に地下室に来てちょうだい」
コナン君に話をしようとすると、哀ちゃんに地下室に連れて行かれた。
「哀ちゃん……何か用なの?」
私が言うと、哀ちゃんはパソコンの前に座って訊いてきた。
「……組織に入ったの?」
「入ったと言っていいのかな……」
私は戸惑いながら話し始めた。
「前に杯戸シティホテルで組織に会ったでしょ?その時に、組織の一員に捕まったのよ」
「え……っ?」
振り向いた哀ちゃんの顔色が一変する。私は困ったように笑った。
「その時はコードネームは分かんなかったけど……しばらくしてからメールが来てね。そこに書いてあったのよ……『vermouth』ってね!」
「……!!!」
哀ちゃんの表情が今までのとは明らかに違った。私は肩をすくめる。
「『ベルモット』。このコードネーム、聞き覚えあるでしょ?」
私が訊くと、哀ちゃんは怯えながらも頷いた。
「……ええ。千の顔を持つ魔女として恐れられてる存在よ……」
「千の顔?」
聞き覚えのない言葉にきょとんとする。哀ちゃんは恐々ながらも教えてくれた。
「変装の名人なのよ……。卓越した変装技術と声色を巧みに操って、どんな人にも成り済ますことができる」
哀ちゃんに「コードネームはもらったの?」と訊かれ、私はこくりと頷いた。
「ええ。コードネームは“ルシアン”だって……ベルモットとボス直々にメールが来たわ」
「ボス……!?あの方のこと!?」