第6章 シェリー ──黒の気配
──コナンside
「そういうこと!こういうのって案外子供騙しなんだよね」
「待って、じゃあキッドが盗んだんじゃないの?」
華南さんがきょとんとしながら言った。オレはまた頷いた。
「そう……こんな仕掛けをすることが出来るのは……雨宮瑠璃さんだけだよね?」
「!」
部員全員の表情が変わった。オレはいたずらっ子のような顔をする。
「多分、ミス研の人たちは全員この仕掛けを知ってたんじゃない?瀬里奈姉ちゃん、『ちょっとしたミステリーがある』って言ってたし!」
部員の視線が瀬里奈に行く。瀬里奈は困ったような笑いを浮かべた。
「キッドからの予告状も、よくできた偽物!キッドはもともと宝石専門で、本なんて専門外もいいとこだしね」
そこまで言うと、瑠璃さんがはぁー、とため息をついた。そして部員を見回す。
「あーあ……だからこんな子供騙しはすぐバレるって言ったのに」
「でも毛利探偵は騙せたじゃんじゃないっスか?」
「樹……毛利探偵は分からないふりしてただけだって」
瑠璃さん、樹さん、真白さんが口々にそう言う。武人さんがオレの前にかがんだ。
「よく分かったな、ボウズ!」
「どこで分かったの?」
華南さんもしゃがんで訊いてきた。
「瀬里奈姉ちゃんとたこ焼き買いに行った時だよ!たこ焼きの箱を組み立ててたのを見て思い付いたんだ!でもこれはカバーを解体しないとできないから、持ち主じゃないとできないなぁって」
「なるほど。さすがの瀬里の策もダメだったかぁ」
華南が苦笑いする。──が、本人、瀬里奈がいない。
「あれ、瀬里は?」
「さっきまでいたけどな」
「『ちょっと出てくる』って言ってどっか行ったよ?」
真白の言葉を聞いた瞬間に、オレはダッシュで部室を飛び出した。今、確実に無人のところは──隣の展示室!
そう思ったオレは展示室に飛び込んだ。すると──
「あれ、コナン君じゃない。どうしたの?」
瀬里奈がいた。