第6章 シェリー ──黒の気配
──瀬里奈side
「じゃあ瀬里奈は全員を部室に集めといてくれ!オレは他の準備するからよ」
「わ、分かった!」
たこ焼きを受け取った後、コナン君と私は別行動になった。
「あれ、瀬里?どこ行ってたのよ」
部室に戻ると華南が出迎えてくれた。
「たこ焼き差し入れしようと思ってね。みんな部室にいる?」
「ええ、いるけど……」
なぜそんなことを訊くのか、と華南は怪訝な顔をしていたが、私はニッと笑った。
「分かったらしいわよ、初版本を盗んだ手口が!」
「えっ!?」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「で、このキッドキラー君は本当に分かったのか?初版本を盗んだ手口」
武人先輩が戻って来たコナン君を覗き込んで言った。
コナン君は大きく頷いた。
「うん!もう初版本も見つけてあるから、盗まれた時と同じような状況にしたいんだ!瀬里奈姉ちゃんも手伝ってくれたんだよ!」
じゃあ行こうか、とコナン君が全員を展示室に移動させた。
「じゃあみんなここで展示品を見てたら……」
「電気が消えたのよね?コナン君」
ニコッと笑う。コナン君はこくっと頷き、電気を消した。
「これで真っ暗になってみんながパニクってる隙に、ホームズの初版本を盗んだんだよ!」
瑠璃先輩が口を挟んだ。
「ちょ、ちょっと待ってボウヤ。ホームズ全集はあんなにかさばるのよ?それをどうやって──」
「そんなの簡単だよ!中身がなければいいんだもん!」
全員の顔が「はぁ?」となった。
「空いているお弁当箱にホームズ全集を1冊ずつ入れて、カバーだけにしておけば……カバーは開けばぺったんこの紙になるし、本はそのまま持ち出せるしね!」
「そっか……それでほとぼりが冷めたらまたカバーを組み立てて本を入れれば……」
「何もなかったかのように装える!ってわけね!」
蘭ちゃんと園子ちゃんが納得したように言った。