第6章 シェリー ──黒の気配
「じゃあお弁当食べよっか。はい、これ1人1つずつ持って行って〜」
瀬里奈が樹さんからもらった弁当を1つずつ配っていく。
「わっ、美味しいー!」
「でしょ?樹ん家の弁当は天下一品なんだから!」
華南さんがニッと笑って蘭に話しかけた。他の部員も賑やかに談笑している。
素早く食べ終えた真白さんが展示室に向かい、武人さんと交代した。次に食べ終わった瑠璃さんが「食べ終わった人はお弁当箱渡してちょうだい」と言って食べ終えた弁当をさくさくとまとめ始めた。
みんなが食べ終えて、瑠璃さんが弁当をまとめ終えると──
「さてと。そろそろ午後の部始まるから、展示室移動しよー」
瀬里奈の一声でみんな移動した。
「みんなは特別ご招待だから、なるべく静かにねー」
「まぁそこまで人は来ないけどね……」
「真白君そーゆうこと言わないの」
瀬里奈が苦笑する。
またみんなで展示品を見たり話したりしていると──
フッ、と電気が消えた。「えっ!?」「何だ!?」展示室にいた15人は大慌て。
再び電気が点いた時には──
「あっ!ホームズの初版本が!?」
ホームズの初版本が──消えていた。
その代わりに初版本が入っていたガラスケースには、キッドのカードが入っていた。
「きっ、キッド!?」
「やっぱり初版本を狙ってたんだ!」
みんなが騒ぐ中で、オレだけはほくそ笑んでいた。
──面白ぇ。