第5章 突然の遭遇──
「じゃあ、まさかあの時戸叶さんが綾子さんをリビングに引き留めたのって……自分と一緒に車を目撃してくれる証人が欲しかったから?」
「そのとおりや!そしてそんなことができたのも、綾子さんの連れの戸叶さんだけ……」
コナン君は犯人をどんどんと追い詰めていくが、戸叶さんは「フフフ……」と笑った。
「フフフ……面白い……。君の推理はまるで小説を読んでいるかのようだよ……」
だがそれを立証する証拠はない。みんなと一緒にいる時に綾子さんのいるガレージに火をつける方法なんてない。
そう言い張る彼にコナン君はこう言った。
「出来まんがな、簡単に……」
戸叶さんはまず、綾子さんに『ガレージの車の後部座席の下に、ホームズの初版本が隠してある』と言う。そうすれば綾子はその本を探しにガレージに1人で来る。だが本を探そうにも車はガソリン漏れの上バッテリーも上がっており、室内灯すらも点かない状態。その上後部座席の下は真っ暗。
そこで彼女はライターを使い、本を探そうとした。だがその火が気化していたガソリンに引火し──
「で、でも綾子さんは戸叶さんの恋人でしょ?なのにどーして……」
蘭ちゃんが焦ったように言った。
「彼女に見破られたから……。死後硬直のトリックも、戸叶さんが犯人だってことも、その証拠も全て……ね」
私はボソッと言った。コナン君は「そのとおりや」と言い、推理を続けた。
綾子さんが『犯人が分かった』と言い出したのを聞いて焦った戸叶さんは、トイレに行く彼女についていくふりをして、ガレージの罠にはめたのだ。
だが本当ならそれは藤沢さんを殺すための罠だった。予定が狂った戸叶さんは、とっさに思いついた仕掛けで停電させ、藤沢さんを襲った……。
「だったら見せてみろよ……証拠をよー……」
そう言われたコナン君は、
「では第241問……暗号『踊る人形』を使って、ホームズが犯人に出した手紙の内容は?」
と、戸叶さんに尋ねた。
「あ、ああ、その問題ならよく覚えているさ!答えは『Come here at once』、『すぐ来い』だ!」
だが、周りの参加者からは「そんな問題はなかった」と言う指摘を受けた。
「綾子さんがあなたの部屋に行ったのは、テストの答えをカンニングするため……もしくは答えをあなたと相談して書くためや!」
でも、戸叶さんは部屋にいなかった。