第5章 突然の遭遇──
外に逃げたであろうオーナーを追おうと小五郎さんと蘭ちゃんが外に出ようとする。だが──
「無駄や、やめとき!なんぼ外を探したかて、犯人は見つからへんで!」
怪訝な顔をする周りの人間に平次君が説明する。
まず平次君は不自然に突っ込まれた椅子を指さした。
「よう見てみい、この椅子を!狭いところに不自然に入っとるやろ?犯人が窓を破った後、慌ててここに押し込んだ証拠や!」
椅子の脚を見てみると、ガラス片が刺さっていた。
「ホントだー、ガラスの破片が刺さってる椅子があるー!」
「じゃあ犯人はきっとこの椅子を使ったのね」
コナン君の言葉に私も同調した。
「だがそれは犯人が椅子を使ったのが分かっただけで……」
と小五郎さんが反論するが平次君に一蹴された。
「アホ!外に逃げなあかんのに、わざわざ椅子を戻す奴がおると思うか?」
「じゃあもしかして犯人は……素手で椅子を握っちゃったの?」
私が訊くと、平次君はこくっと頷いた。
「素手で触ったっちゅうことは指紋が付くやろ?それを消したくても辺りは真っ暗で、完全には消されへん!そやから犯人は椅子を机に戻したんや!椅子を使たと分からせんように……」
「そして電気がついた後に自然に指紋を拭き取るためにも……ね?」
私が言うと、平次君は驚いたような顔をした。
「でも……ちょっと待って。あの時この部屋にいたのは私たちだけでしょ?じゃあ……」
蘭ちゃんが怯えたような顔をした。
「そうや……これで分かったやろ、オーナーが犯人やないってことが……そして犯人はまだ……この中におるっちゅうことがな!」
この中に……ね。
それは合ってる。さて、いつになったら真相に辿り着くかしら?──東西の名探偵さん♪
すでに真相を見抜いている私はコナン君と平次君を見比べてほくそ笑んだ。
「メイドさん……確かあなた、停電した時ヒューズが飛んだって言ってましたよね?」
「は、はい……コーヒーメーカーのコンセントを入れようとしたら……急にバシッと……。と、とにかくキッチンに来てください!」