第5章 突然の遭遇──
「毛布?」
「ああ、何でかは分かんねーけど……」
それを聞いて、私はニヤリとほくそ笑んだ。そうか……それなら“あれ”を隠すことができる……!
「新一」
コナン君の耳元でそっと囁く。
「ナイス発見!ありがと」
「はぁ?」
コナン君は「意味が分からない」という表情だったが、私はそれを意に介さずみんなの所に向かう。
トイレの前で人だかりができているな、と思えば、綾子さんが「自分の推理は勘違いだった」などと話してどこかへ歩いて行ってしまっていた。
「さっきまで一緒にいたのは戸叶さんよね?」
近くにいた蘭ちゃんにそう訊いてみる。蘭ちゃんは「そうですよ」と頷いた。
私はきゅっと眉根に皺を寄せた。
と、そこへ──
ドォォォン!!!
「な、何だ今の音は!?」
「ガレージの方だ!!!」
慌ててみんなが外に出る。──ガレージがどす黒い炎を上げていた……。
慌てて消火器を持ち出し、ガレージの消火を試みる。
やっとの思いで火を消したガレージに綾子さんがいないか探した。万が一生きていれば、と思うが故の行動だ。
だがそんな願いをあざ笑うかのように彼女は見つかった。車の中で、無残な焼死体となって……。
「そういえば彼女、『犯人が分かった』とか言ってたわよね……」
戸田さんが恐れたような顔をした。
「じゃあまさか、旦那様を殺した犯人が口封じのために彼女を……」
メイドさんがそう言うが、
「このガレージで火が上がった時、みんなペンションの中にいましたよ。誰かが火をつけることは不可能なんじゃ……」
私がそう指摘すると、戸田さんとメイドさんが「じゃあ誰が火を……」「勝手につくわけないし……」と口々に話し始めた。
川津さんが声を上げる。
「第1の事件で車で転落死したオーナーが死んだと見せかけて、実は生きていたとしたら──全てつじつまが合うと思いませんか?」
だがそれはコナン君と平次君によって否定される。
「とりあえず、家の中に引き上げて夜が明けるのを待ちましょうや……」
小五郎さんがそう言って、みんながペンションの中に引き上げた。
メイドさんの手伝いをするため、蘭ちゃん、私、川津さんと戸叶さんがキッチンに向かう。