第5章 突然の遭遇──
「蘭ちゃんどうしたの?」
「あ、はい……。昼間、綾子さんの様子がちょっとおかしくて……」
「「え?」」
その話にコナン君と平次君も食いついた。
「今日の昼食の後、部屋に戻る途中で綾子さんを見かけたんですけど……彼女、私を見た途端に慌てて紙のような物を後ろに隠したんです……」
「どんな紙?」
コナン君が訊くと、蘭ちゃんはその時の出来事を思い出しながら言った。
「多分あれって、昨日配られたホームズのテストだと思うんだけど……」
「「「て、テスト!?」」」
コナン君、平次君、私は声を揃えてそう言った。
みんなが騒がしくしているうちに私はこっそり私とコナン君達以外の人間が泊まっている部屋に入り、“あるもの”を覗いていった。
そして気づいたのだ。“ある人物”の“あるもの”だけは、他の人たちとは違っていたのだ。
私ははた、と気づいて考え込んだ。
待って……
丸一日姿を見せなかったオーナー……そしてオーナーが死んだ時に地面にあったタイヤ痕……それに、もし本当にクーラーをかけていたのならあるはずのアレがなかった……。
エンジン音とは違う謎の音……いきなりスピードを上げた車……
待って、確か“あの現象”って温度によって──
そこまで考えてハッと気づいた。
まさか、犯人って──
「なるほど?だからあの人はこれを……」
私はニヤリとした。
今日ばかりはたくさんの知識を教えてくれた両親や書斎の本に感謝する。
ととと、とみんなのいた部屋に戻った。コナン君が近寄って来る。
「おい瀬里奈……どこ行ってたんだよ?」
「ん?秘密♡」
ウインクしてそう言うと、コナン君は「気持ち悪りぃ」とバッサリ言い切った。
「犯人はアリバイのないあの4人だと思うんだけど……オメーはどう思う?」
「んー、アリバイがないから犯人っていうのは早計じゃない?オーナーは“丸一日”いなかったのよ?夕食後に殺されたとは限らないしー……」
そう言うと、コナン君はじろっと私を睨んだ。
「何かオメー、犯人分かってるみてーな言い方だな……」
「さぁ?私は探偵じゃないし、謎解きは専門外よ。それよりさ……」
私はコナン君に疑問に思っていたことを訊いた。
「車のことで、何か気になったことなかった?」
「気になったこと?そういえばパネルに毛布が……」