第5章 突然の遭遇──
「また?」
「あ、ああ……この前の事件の時もこいつ、証拠を探しとったオレにぶつかりよったんや……」
「へぇ……」
ととと、と私はコナン君のところに駆け寄り一言耳打ち。
「あんまり目立つようなことしないようにね?特にあの服部平次君の前では」
と言うとコナン君は「わあってるよ。バレねーようにすっからよ」と笑った。
「くそっ、暗くてよく見えないね……」
「あ、ああ。そうやな……」
「瀬里奈姉ちゃん、ライターか何かない?」
いきなり振られ、私は慌ててポケットをまさぐる。
「ごめん、持ってないや……」
そう言うと、横から綾子さんがライターの火を点けた。
「これでどう?お若い探偵さん達?」
「あ、どうも♡」
「おーきに♡」
私は苦笑しながらため息をついた。東西きっての名探偵達も、やっぱり美人には弱いのかな。
と、戸田さんが空を見上げていた。気になって話しかけてみる。
「どうしました?」
「ちょっと星がね……妙に騒いでるから……」
「星が?」
私はきょとんとした。ああそういえばこの人占い師だっけ。
「まだまだこれで終わりじゃないぞ……って……」
「え……?」
私は何か不吉な予感がした。最初の彼女の占いといい、今の言葉といい……何か、本当に嫌なことが起きそうで……。
「さ、いい加減戻らなきゃ。行こう2人とも」
私がそう言うと、大人しくペンションの中へ──戻るわけなかった。
帰る前に少しだけ、と言って2人がガレージの中に入る。
「ねぇ、ガソリン臭くない……?」
「ホンマや……。な!?」
平次君がいきなり声を上げた。私とコナン君が見ると、──「えっ!?」「何っ!?」
「ガソリンが漏れてる!?」
慌てて私は車の給油口を見た。そこには穴が空いており、そこからガソリン漏れしているらしい。
「おい姉ちゃん、バッテリーも上がってんでこれ……」
「えっ?じゃあこれ動かないじゃない!」
「誰かがボク達を閉じ込めようとしてるんだね……」
3人は渋い顔でペンションに戻った。
みんなの声がオーナーの部屋からしたため、そこへ向かってみると、
「何これ!電話が壊されてるじゃない!」
私は思わず叫んでしまった。そして、後から来た平次君がガレージの車の惨状を説明した。